株式投資の世界ではウォーレンバフェット氏と並ぶ有名人のピーター・リンチという人物がいます。
彼は1944年生まれで、中学生で株式投資に目覚め大学への進学学費は、株式投資で稼いだそうです。その後投資の世界に入り、2,000万ドルだったファンドを14年間で140億ドルにまで驚異的に増やしました。
その間の年平均のリターンは29%であり、ファンドの基準価格を13年間で25倍にするという“脅威的なパフォーマンス”を残し株式の世界で一躍名を馳せることになりました。
彼の投資スタイルは、いわゆる「逆張り」というものでマーケットの流れに逆らって投資することを得意としています。
そして、株で金儲けをすることとマーケティングには意外に共通点があり、その共通点とは「他人とは違うことをする」といったことだと思います。
「株ならその株を買う明確な理由」「商品ならその商品を買う明確な理由」を明確にできなければ成功は出来ない
ピーター・リンチは、
「株で金儲けをするのに、株式市場全体を捕捉する必要はない。また経済や金利の予測をする必要はない。それは当たらないからだ」
といったような言葉を残しているのですが、マーケティングを成功させるにも、全ての人の動向を予測する必要はなく、考えなければならないのは、自分が顧客に迎えたいターゲットの事だけであり「いかにターゲットを絞るのか?」そして、「そのターゲットの考え方を的確に予測すること」が、マーケティングの成功のカギを握っていると言えるでしょう。
それに市場が不景気だからと言って、あなたのビジネスが不景気に引きずられる必要は無いのです。
ですから「経済や金利の予測をする必要はない」と言うリンチの言葉は、ビジネス上での真理を的確についていると思います。
その他にも、彼の名言として、、、
「誰もが株式市場を理解する力を持っている。小学校5年生までの算数をやり遂げていればあなたにも絶対できる」
と言っているのですが、マーケティング、特にダイレクトレスポンスマーケティングでは、いわゆる四則演算ができれば十分であり、何も特別頭が良くなければ、理解できないなどということなどありません。
後は株式市場と同じように、「人間の考え方を予測すること」この精度を高めていけば良いと言えるでしょう。
また彼は、
「ある銘柄を買う理由を小学生でもわかる言葉で簡潔に説明できなければならない」
としているのですが、顧客があなたの商品なり、あなたの会社を選ぶなりする際に、
「なぜあなたの会社なり商品が選ばれるのか?」
その理由を当の本人であるあなた自身が顧客に成り代わって、的確に答えることができるようになっていなければ、人が株を買うことができないのと同じように、あなたの商品やサービスを買ってもらうことはできないでしょう。
それに、アマチュアでもプロに勝てる!と彼は言うのですが、小さな会社に必要なマーケティングを理解しそれを駆使すれば、中小規模の会社が資本の潤沢な大手企業に勝つことも十分に可能だと思います。
むしろ小回りが利く分だけ、様々な意思決定が早く出来、常に大手の裏をかくと言ったことも可能であると思います。
また、彼は誰もが注目するハイテク成長株ではなく、既存の小売業や外食の株から、2倍から5倍も儲けることができました。それにそれらの株が、ハイテク成長株よりもずっと早く成長するだけでなく、リスクもより小さいということも知りました。
マーケティングも全くこれと同じであり、流行のメディアやマーケティング手法など誰もが目を向けるような集客手法よりも、地味であまり目立たなく、それでいて昔から行われているDMや、単純な印刷物を使った集客手法の方が、あなたのビジネスを一気に成長させる可能性もあるのです。
コンピュータを扱う会社は、ライバルが高性能な機種を発表すれば一夜にして企業価値が半減するというリスクを常に負っているのですが、アメリカの片田舎にあるドーナツのフランチャイズチェーンは、都心に世界一で最高にうまいドーナツの店がオープンしても翌日、顧客が消えてなくなるという事はないでしょう。
ワールドワイドにつながったビジネスは、それだけ大きく稼ぐことができる可能性もあるのですが、一瞬にしてビジネスの価値がなくなるリスクも常に孕んでいます。
ところが、地方と言う閉鎖された環境の中で地元に強固な基盤を築いていれば、まず都会からライバルが進出してくるまでには相応の時間がかかるでしょうし、ある程度の時間があれば、外敵の襲来に備える時間も十分に取れると思います。
つまり、、、
閉鎖された環境の中でビジネスをしている方が“安定”といった意味では逆に、田舎は適した環境なのかもしれません。
多くの新しい情報を手に入れるよりも、古くて身近な情報の中にこそ「気づかないビジネスの種」が埋もれている
ピーター・リンチは個人投資家に様々なアドバイスを残していますが、そのアドバイスの中でも最も私が気にいっているのは、、、
「個人投資家としての強みは証券会社やアナリストなどのプロ投資のプロと言われる人からではなく、既にあなたが持っているものの中にこそ見出される。なじみのある企業に投資することによって、あなたの強みは発揮され、プロ面をした者たちを打ち負かすことが可能になる」
と言った言葉です。
あなたが既に、ある程度の顧客を持っているならその顧客の中にこそ、あなたのビジネスが成長するカギを見いだすことができるのであり、あなたの顧客は他ならぬ“あなた自身”が一番、理解する事が出来るハズだと思います。
自分のビジネスにすでになじみのある顧客の中にこそ、新なるビジネスの種や市場の他の誰も気づかないような斬新で画期的な、アイディアの元を見つけ出すことができるでしょう。
人は時に情報に振り回され、自分の足元が見えなくなってしまうことがあるのですが、これは株式投資もマーケティングも同じであり、より多くの新しい情報を手に入れるよりも、古くて身近な情報の中にこそ「気づかないビジネスの種」が埋もれているのだと思います。
そうした埋もれた種を見つけ拾い出すことが、株式投資でも商売でも他者に差をつけ優位に立つための、正しい情報の使い方となるのです。
最後までありがとうございました。
追伸
人間ってどうしても“新しいモノ”に飛びつく傾向があるように思います。それに現代は、情報なんていくらでも簡単に手に入るので、その手軽さ故に「情報に振り回される」といった問題が起こるのでしょう。
私は一時期、大手ケミカル系の商社「長瀬産業」のベンチャー子会社に所属していた時期があります。金型屋として働いていた時に、新規金型の発注から最終的な量産開始まで“一気通貫”で得意先と話のできる人材を探していた会社だったのですが、当時の金型メーカーの得意先だったのです。
そして、金型メーカー会社解散の折(親会社の決定で)新しい仕事先を求め、当時の出向上司の紹介で静岡を離れ名古屋に転居した(身売りされた)という経緯があります。まあ、今でもその人とは時たま連絡を取っていますが(笑)
商社では「情報こそが命」という考え方であり、私も情報は重要であるという考え方を学んだのですが、ただ情報に振り回されているだけでは、いとも簡単に自分自身を見失ってしまうと思います。
ですから「自分自身にとって必要な情報とは何か?」を十分に理解し、「まずは自分の足元にある情報に目を向ける」といった考え方が、より重要だと思うんですよ~って感じですゥ~
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