博報堂ケトルのCEO嶋浩一郎氏は「自分が直木賞の選考委員だったら別の本を選ぶのに、、、」という書店員との会話から「本屋大賞」というアイデアを発想したそうです。現在出版不況に苦しむ出版業界にとって、この本屋大賞というアイデアは絶好の話題作りとなりました。
大手広告代理店の博報堂は中谷彰宏氏、谷山雅計氏、佐々木圭一氏など錚々たるクリエイターや、著名人を輩出してきた広告業界の二大巨塔の1つです。そしてこの博報堂には、門外不出の話し方聞き方のルールがあり、これを全社員が身に付けるということです。
冒頭の、嶋氏による本屋大賞のアイデアも、この門外不出のルールから生まれたものであると言えるのであり、このルールを初公開している『博報堂のすごい打ち合わせ』というビジネス本は、広告業界だけでなく、企画力や提案力が必要とされる営業職の世界でも、必要とされるものだと思います。
世に知られるような素晴らしいアイデアを、創出してきた当事者でなければ知り得ないような事実も書かれていて、大ヒットするアイデアが、
「どのように浮かんでくるのか?」そして、「どのように打ち合わせされるのか?」が具体的に記されていて、大変興味深い内容になっています。
顧客と同じ目線でいる限り、良いアイデアは生まれない
博報堂式の打ち合わせには4つのプロセスがあり、そのプロセスは、、、
1、共有
2、拡散
3、収束
4、統一
という過程を経て行きます。
そして、打ち合わせを行うのであれば、最終的には何らかの結論を導き出さなければ、会議や打ち合わせを行う意味がありませんが、最初に会議の場に持ち寄られるアイデアのA案やB案、C案といったものが採用されるのではなく、打ち合わせが始まった時点では、まだ影も形もないアイデアである想定外のD案やE案を目指して行われるのが、博報堂式の打ち合わせの最終的な目標です。
また、打ち合わせをスムーズに進めるためには、5つのポイントとなるものがあるのですが、まず事前に、
1、個人で考える時間を作っておく
2、そして見解の異なるメンバーを集める
3、発言のタイミングをコントロールする
4、1回目の打ち合わせ後に、おおまかな役割分担をする
5、上司がアイデアを複数用意する
このようなポイントを要所要所で効かせているために、持ち寄られる複数のアイデアが、最終的に質の高いアイデアに昇華されていくのだと思います。
また博報堂式の打ち合わせには、守らなければならない話し方、聞き方のルールがあり、
1、アイデアは紙に書き込みながら話すこと
2、単なるアイデアとコンセプトは分けて会話する
3、「原則論」や「べき論」で話をしない
4、下手な会話のキャッチボールをよしとする
5、どんな意見でも絶対に否定しない
6、人のアイデアには一度乗っかってみる
といったルールがあります。
アイデアは紙に書きながら話すとありますが、人は自分の考えを言葉にするだけでなく、目視化できるようにした方が、より明確に自分の内面にあるアイデアを理解することができます。
また「原則論で話をしない」「どんな意見も否定しない」「人のアイデアには乗ってみる」などといったルールは、考え方に制限を設けないことで、斬新なアイデアを創出するための工夫であると思います。
常識の範囲で、各々が考えを出し合っても、そこから新しいものが生まれないのは当然のことであり、博報堂の話し方、聞き方のルールは常識や思い込みの壁を取り払うことが、その目的にあるのだろうと思います。
お客様の目を引くような企画や提案は、お客様と同じ目線、つまり、、、お客様の中の常識の範囲で考えている以上は、考えつくことがないでしょう。
それでは見込み客の潜在的な問題を解決し、魅力を感じさせるような提案は絶対にできないと思います。これは私の仕事の1つであるコンサルでも同じであると言え、クライアントは自分の商品を「売り手」の立場からしか見ていない!といった事がよく見られます。
「良い商材なのに、もったいないな、、、」と思ってしまうような売り方をしている企業や経営者は、数多くいるのであり、その多くがいわゆる 「プロダクトアウト」といった作り手からの考え方に軸足を置き過ぎているのが原因です。
「売り手」は一度「作り手」の立場から離れてみないと、良い提案をする事ができない
私は仕事柄、プロの広告店経営者とも話をしたことがありますが、その時に自分が聞いていて、気になったのが「商材、商品を宣伝するヒントは作り手の中にある」という一言でした。私は口にこそ、しませんでしたが(それは、本当の意味でマーケットが分かってない人の言う事だよな、、、)と感じるしかなかったのです。
どんなに優れた商品であっても、買うのはお客様、もっと言ってしまえば市場です。ですから「買い手」の目線で考えなければ、売れるものも売れません。世の中には素晴らしい商品、商材が溢れているのですが、その9割が「日の目を見る事無く、なくなっていく」と言われています。
ですから、先ほどの広告店経営者も、おそらくはデザイン畑の出身であり「商品を良く見せるためのクリエイティブな発想」を重視し過ぎているのだろうと思います。これは私が長年、携わっていた製造業界のエンジニアたちと同じであり、技術者やデザイナーといった人種が陥りやすい罠であると思います。
私はクルマ業界の一端にいたのですが、また機会があれば、業界の裏側を見た人間でなければ分からない、とあるカーメーカーの技術者とデザイナーの確執や、製造現場で働く品質管理者の「呆れるような職業意識」についても触れていきたいと思います。
営業力とは、言い換えれば提案力であり、すばらしい提案ができれば、相手はその提案に対して「イエス」と言わざるを得ないでしょう。
そんな企画力、提案力を磨くためにも、この博報堂の打ち合わせのルールは大いに役立つものであり、あなたも一度ご自身のビジネスに、取り入れるだけの価値のあるものだと思います。
最後までありがとうございました。
追伸
博報堂と言えば、、、やはり広告、CMといったイメージが浮かぶのは当然ですよね?
で博報堂の社員も参考にしているかどうか?は知りませんが(笑)
「こんな広告もあるのか~」とタイトル通り
ビックリする事例満載なのがこちらです~
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「超 ぶっとび広告集」
http://directlink.jp/tracking/af/1446890/N7aGkp9q/
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追伸の追伸
このブログの初期の記事ですが、ターゲットマーケティングやセールスについての
「オモシロイ話」を書いてます。是非、参考に。
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