「ヴーヴ・クリコ」動乱の時代に会社を最高のブランドに育て上げた素晴らしき女性事業家

優れた起業家の定義を考えた時、それは「事業を成長させる事ができるかどうか?」であり、そこに男女の違いはないと思います。

日本では、モエ・シャンドンと並んで有名なシャンパンの1つである「ヴーヴ・クリコ」

クリコとは家の名ですが、ヴーヴとは寡婦つまり、、、フランス語で未亡人のことを言います。そして、そのヴーヴ・クリコを世界的なブランドに育てたのは夫を失った27歳の未亡人でした。

彼女は後に、シャンパーニュ地方で「偉大な女性」と呼ばれた大経営者となったのですが、彼女の経営者としての才覚を知ると優れた起業家、経営者には男女の差など関係がなく「どれだけアントレプレナー(起業家)らしい行動ができるか?」が焦点になることを教えてくれていると思います。

動乱の時代に会社を最高のブランドに育て上げた女性事業家

ヴーヴ・クリコの会社が設立されたのは1772年のこと。その前身として、夫フィリップ・クリコは銀行家として成功し多角事業を行う事を目的とした会社を、フランスの北部に位置するランスに設立しました。

そして、彼はポンサルダン家の令嬢バルブ・ニコル・ポンサルダン(後のヴーヴ・クリコ)と結婚したのですが、わずか4年で亡くなってしまいます。マダム・クリコは嫁いでたったの4年で未亡人(ヴーヴ)となってしまったのですが、彼女は夫がシャンパンにかけた情熱を無駄にできないと思い「自分がこのシャンパンを世界中に広める!」といった決意をしたのです。

そして自らメゾン経営に乗り出したのですが、、、1770年代は革命の動乱の真っ只中であり、王政の廃止、貴族制の廃止がなされて社会体制が大変革する時代でもありまりました。

そのような時代背景もあり、特権階級に愛されていた高価な嗜好品の1つであるシャンパンなどは、革命の矢面に立たされ、世界中に広まるどころか、その存続すら難しい時代でした。

しかし、そんな中でもヴーヴ・クリコは実に事業家、起業家らしい行動に打って出ます。

彼女はロシア宮廷へ自社のシャンパンを輸出するなどして、当時のロシア皇帝や貴族へシャンパンを献納し、自社のシャンパンを海外に広めていきました。

自国のフランスで、シャンパンを好んでくれる顧客(貴族)がいないのなら、顧客のいるところ、つまり、、、「新しい市場」を探して、そこに売り込み攻勢をかけたのです。自国がだめなら「他所の国で商売をすればいい」とした発想は、アイデアとしては単純かもしれませんが、グローバルな社会体制がなかった当時では、このアイデアそのものが素晴らしものだっと思います。

なので、まず優れた事業家、起業家に必要な資質の1つとして「事業が成長できるか可能性のある市場の発掘、あるいは推測ができること」が挙げられると思います。

どれだけ素晴らしい商品があったとしてもその商品を愛し、手に取ってくれる顧客がいない事にはビジネスにはなりません。そこで、真っ先に有望な市場を探し出す、あるいは有望な市場に気が付ける能力が事業家、起業家には必要となるのです。

そして、ヴーヴ・クリコには、その能力と更に重要な「行動力」がありました。

彼女は単純にロシア貴族に売り込みをかけるのではなく、自社のシャンパンを広める為の起点となる行動を起こしたのですが、その行動とは、、、

いきなり貴族にシャンパンの売り込みをするのではなく、まずマーケティングの対象として狙ったのはロシア軍の兵士でした。彼女はロシア兵をとことん酔わせる為に、散々シャンパンをタダ飲みさせ酔わせシャンパンの味を覚えさせました。

そして、ロシアに帰還した兵士が「ああ、またあのシャンパンが飲みたい!」と、たまらなくさせる作戦に出たのですが、その彼女の策略はものの見事に奏功しました。

ヴーヴ・クリコは「今日、無料で飲んで帰れば、明日はお金を払ってでも飲みたくなるはずだわ!」と考えたのですが、その彼女の思惑は想定以上の結果をもたらしたと言えるでしょう。

優れた事業家、起業家の定義とは、、、会社を成長させる事ができるかどうか?これだけである

ヴーヴ・クリコは現在、世界有数のブランドコングロマリッド「モエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)グループ」の傘下に入り、世界中に自社のシャンパンを販売できる最高の販売網とブランドを手にしています。

そして、フランスのシャンパンでありながらエリザベス2世に気に入られ「英国王室御用達」の栄誉を授かるブランドとして、世界中のセレブに認知されるシャンパンとなりました。

しかし、ヴーヴ・クリコがロシア兵に「ただ酒攻勢」を掛けた時、秘中の存在として「1811年もののビンテージ」の存在だけは巧妙に隠しておき、ロシア貴族を顧客にするための切り札として隠していたことも、付け加えておきましょう。

彼女の思惑をマーケティング的な考察で考えると、最前線で戦う兵士にシャンパンの味を覚えさせたのは」市場の裾野を広げ自社の認知度を高めるため」であったハズですが、、、同じものを上流に位置する王侯貴族に提供するのは、自社ブランド構築には逆にマイナスにも働きかねません。ですから、、、

「私どもの事を知って頂いているなんて光栄です。そこで、あなたには一般の顧客では手に入らない、特別なものをご用意したました。どうぞ、こちらです、、、」と、恭しくかしずきながら、希少価値の高い品物を提供したら、どうなるでしょうか?

きっと、あなたにも想像がつくかと思いますが、より効果で希少性の高い品物を受け取る側の「自尊心」が心地よく刺激されるのは自然な事だと思います。そして、このような手法は現代の「ブランド」でも行われている手法であり、「高価なブランドを作る」といった効果は、著しいものがあると思います。

このように世界有数のシャンパンブランドとして確固たる地位を築いたヴーヴ・クリコですが、元はと言えば嫁いでたった4年で主を失った未亡人であり、傾きかけたメゾンを必死に経営した1人の女性起業家でした。

しかし、彼女の優秀な起業家として行動が、潰れかけのメゾンを世界有数のブランドに変えたのであり、彼女の行動は、優れた起業家には男女の違いなど関係がなく、ましてや時代の変遷という逆境さえも関係がない事を証明していると思います。

ですから、、、

優れた起業家の定義を考えた時、それは「事業を成長させる事ができるかどうか?」であって、そこに男女の違いなど微塵もないと思います。

最後までありがとうございました。

追伸

ヴーヴ・クリコは優れた事業家、経営者であると同時に

優れたマーケッターでもあったのですが、彼女のとった手法が

「下流から攻めて上流に向かう」としたものならば

「上流で顧客を回す」といった手法がこの「紹介マーケティング」だと思います。

  ↓

紹介こそ、最上で最高のマーケティング!

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